【映画感想】「レイクビュー・テラス 危険な隣人」引っ越すのが怖くなる…ご近所問題映画
レイクビュー・テラス 危険な隣人
2008年 アメリカ
ジャンル:サスペンス
満足度:★★★★☆ ☆☆☆☆☆
あらすじ
あるLAの住宅街に新婚の白人と黒人の夫婦が越してきた。ようやく手に入れたマイホームに幸せ一杯の2人。しかし、その幸せも束の間、隣の黒人LAPD警官の執拗なまでもの嫌がらせを受ける。反撃に転じるほど嫌がらせは悪化していく。相手は地元でも人脈ある警官、なぜ彼はそこまで2人に固執するのか。果たして2人の運命は!?
※amazonプライムビデオより
感想
演技はすごく良かったんだけど、ストーリーはイマイチ…。
もっとサスペンスに徹するか、いっそ世の理不尽を描いたヒューマンドラマにして欲しかったなという気持ち。
どっちも入れようとしたせいで中途半端になった感じがしました。
どうしてもこの結末は避けられなかった!っていうストーリーの必然性が感じられないのも残念。
問題の隣人(主人公)だが、シンプルに怖い。
サミュエル・L・ジャクソン演じるエイブルが、あー、こういう人いるわ…っていう妙なリアル感があってすごく怖かった。
コンプレックスを隠そうとして他人に対して過剰に高圧的になる人間。それも能力が高いせいで余計に厄介。
そのうえ社会的地位も持ってるので、頼れる味方がおらず夫婦が孤立していく様子に不安が高まる…。
ストーリーの進みとともに迫り来る山火事が不安を象徴するようで、面白い演出だった。
映画としてあまりオススメはしないけど、サミュエル・L・ジャクソンの怪演は見る価値ありかなぁ?
ちなみに日本では上映されていなかったらしい。
ネタバレ
※ここからネタバレです!
ストーリーをサスペンスにしたいのか世の不条理に翻弄されるヒューマンドラマにしたいのかわからん!!
サスペンスにするなら、もっと逃げられない切迫感を演出してくれ!
夫婦引っ越そうと思えば引っ越せるじゃんね。リサは途中で帰りたがってるし、クリスもなんでその地にそんなに固執するのか?ってとこがあまり描かれてない。仕事も別に好きじゃなさそうだし。
エイブルも職場の仲間と軋轢あるから、地域の警察官はあてにできない!という設定が嘘くさいんだよな…。
世の不条理さを主題にしてるなら、もっとどっちにも同情の余地をくれよ!
エイブルは周りに迷惑かけすぎだし、クリスとリサは自分の描く未来像にこだわりすぎ!
みんな可哀想…とならないんだなぁ。
エイブルは悪役なのか彼もまた被害者ポジションなのかもわからん。
悪役にしたいなら子供は出す必要ないと思うんですよね。
奥さんが白人男性と浮気してたの許せない!白人男性と黒人女性のカップルの幸せをぶち壊して、復讐してやる!!(理不尽)
でいいと思うんですよ。
でも、妹や同僚の話ぶりから、昔は良い人だったのに奥さんが亡くなってから変わった、ということがうかがえる。
そのせいで年頃の子供との関係や仕事がうまくいかない。
エイブルがバーで奥さんの話をし始めて、それで夫婦のこと憎んだり周りに当たってたのか…その怒りは理不尽だけど、この人もまたかわいそうな被害者なのかな…
と思ったら突然の留守宅荒らし!
完全にお前が悪いやないかーい!!
同情はしきれないけど、完全な恐怖の対象になるには人間臭さがあってなんとも中途半端。
あと気になるのが最後のシーン、クリスがエイブルを煽って銃を撃たせる必要はあったのか?
エイブルが死ぬのが丸く収まるエンドだから、ストーリーとして銃を撃たせるのはわかる。
でもリサを危険にさらす可能性があるのに、クリスが煽る意味がわからない…。
警察もエイブルのこと警戒してる描写があったから、警察はどうせエイブルを調べてくれないからヤツが銃を持っていることを自分が証明するしかない!っていう筋書きは成り立たないのでは。
クリスが銃を下ろしたところでエイブルが撃ちにかかって警察に撃たれる、の方がしっくりくるなぁ。
良かったのはサミュエル・L・ジャクソンの表情の作り方と、エイブルの性格のリアルさ、そして山火事の描写の面白さかな?
狙った「理不尽さ」以外にもモヤモヤとする映画でした。